人間の欲求は神経伝達物質の働きであると仮定しよう。
1 ドーパミンは行動欲を司る
2 カンナビノイドは苦痛回避の欲求を司る
3 セロトニンはみながするのと同じことをしたいという欲求を司る
4 オキシトシンは自分と関係のあるものを育てようとする欲求を司る
例えばこのように考えた時、我々は神経伝達物質の持つ性質をうまく説明できることに気づく。
全ての神経伝達物質は、興奮性または抑制性のいずれかの性質を持つ。
我々はドーパミンは興奮性であることを知っている。
ところで一般に神経伝達物質はシナプス前部からシナプス後部に向けて放出される。
しかしカンナビノイドは例外である。カンナビノイドはシナプス後部からシナプス前部に向けて
放出される。そしてシナプス前部の他の神経伝達物質の伝達(放出)を抑制する。これを
逆行性シナプス伝達抑圧と言う(参考文献[3])。
カンナビノイド受容体ももちろんシナプス前部にある。
そして、おとなの脳ではカンナビノイドは抑圧の性質を持たなくなる(参考文献[4])。
おとなの脳ではカンナビノイドは興奮性だが子供の脳では抑制性である。
ラットの前頭前野のニューロンのオキシトシンは興奮性であり、腹側被蓋野および扁桃体のニューロンは
抑制性である(参考文献[5])。
人間は前頭前野が発達しているから人間のオキシトシンは興奮性であると言えるであろう。
オキシトシンはシナプス前部からシナプス後部に伝わるが、オキシトシンを受け取ったオキシトシン受容体は
カンナビノイド伝達を引き起こす(参考文献[3])。おとなの脳ではこの理由からオキシトシンは興奮性であると
考えられる。
人間以外の動物ではオキシトシンはカンナビノイド伝達を引き起こさず、オキシトシンは抑制性では
ないだろうか。もしくはオキシトシンが引き起こすカンナビノイド伝達(2-AG)は子供の脳の
カンナビノイドのように逆行性シナプス伝達抑圧となり、抑制性を示すのではないか。
[1]岩田誠(2011). プロが教える脳のすべてがわかる本 ナツメ社
[2]マァレー、外林大作(1961). パーソナリティ第1巻 誠信書房
[3]
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/83-08-03.pdf
[4]
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2008/20080219_2/20080219_2.pdf
[5]
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26460304/