脳モデル1

Nov.19, 2025

新川俊一

現代脳科学の知識は断片的なものとなっている。
それらをできるだけ統合化すなわちモデル化しようと思う。
ニューラルネットワークなど一部はモデル化されているがそれが全てではない。
脳細胞の末端からシナプス間隙に神経伝達物質が放出され、それは次の脳細胞の受容体に到達する。
それを前知識として述べていく。

人間には物事を育てたいという欲求がある。
この欲求の担い手はオキシトシンであると推定される。
オキシトシンはシナプス間隙に神経細胞の末端から放出され次の神経細胞の受容体に到達する。
このオキシトシンの振る舞いに対して逆の伝達もある。
受容体からシナプス間隙を通り前の神経細胞の末端に到達するものである。
これはフィードバックである。
この逆の伝達を逆行性シナプス伝達という。
逆行性シナプス伝達の存在するシナプスが興奮性シナプスと呼ばれるものである。
オキシトシンのシナプス伝達には逆行性シナプス伝達が存在し、興奮性シナプスである。
オキシトシンの振る舞いはフィードバックされる。
結論から言えば人間のオキシトシンのシナプス伝達は興奮性だが その他の動物のオキシトシンのシナプス伝達は興奮性では無く抑制性なのだ。
抑制性シナプス伝達にはフィードバックが存在しない。
即ち抑制性シナプスには逆行性シナプス伝達が存在しない。
オキシトシンのこの差が動物と人間を区別する。
従って動物のオキシトシンのシナプスを何らかの方法で逆行性シナプスありのシナプスに変えることができれば 動物の脳を人間の脳に変えることができる。
これはひとつの重要な結論である。

苦痛回避欲の担い手は神経伝達物質のカンナビノイドであると推定される。
カンナビノイドのシナプスはおとなでは興奮性だが子どもでは抑制性だ。
このことは現代脳科学でよく知られていることである。
カンナビノイドにはおとなでは逆行性シナプス伝達が存在するが子どもでは存在しない。
子どもでは苦痛回避のフィードバックが存在しないので問題解決能力がおとなより劣る。
カンナビノイドのシナプスには興奮性と抑制性の中間も存在する。
それを思春期という。
カンナビノイドの逆行性シナプス伝達が育ち始めた時だ。

人間には皆と同じことをしたいという欲求がある。
この欲求の担い手はセロトニンであると推定される。
セロトニンのシナプス伝達は常に抑制性であり、逆行性シナプス伝達は存在しない。

性欲、食欲、睡眠欲、排尿欲などの担い手の神経伝達物質はまだ発見されていない。
著者の勝手な命名を紹介するとそれぞれセクソン、イートン、スリーポン、ピソンと言ったところか。
これらのシナプスは抑制性シナプスである。


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